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ASD(自閉症スペクトラム)とは
自閉スペクトラム症(ASD)とは、脳の働き方の違いによって引き起こされる発達障害の一つで、患者数は人口の1%程度とも言われています。人とのコミュニケーションが困難なことで人間関係の構築が苦手で合ったり、興味関心の幅が極端に狭かったりします。また、感覚が過敏で、音などの刺激に過度に反応してしまう場合も。こだわりの強さから行動にも偏りがあり、同じ動作を繰り返すなどの特徴が見られることもあります。
ASD(自閉症スペクトラム)の原因
ASDは生まれながらに持つ神経障害の一つであるため、子育ての仕方や発育環境によって発症するものではありません。具体的な発症原因は明らかになっていませんが、次のような要素がASDの発症の理由として影響していると考えられています。
原因1. 遺伝による影響
多くの遺伝的要因が複雑に絡み合うことで、ASDが発症しているのではないかと考えられています。その他の遺伝子が関与して発症するレット症候群、脆弱X症候群、ダウン症候群などの病気では、症状の一部としてASDの症状が現れることもあります。また、1人目の子どもがASDの場合、2人目も同様に発症することは珍しくないようです。
このように、ASDは単独のみならず複数の遺伝学的疾患との併発がみられることや、発症状況の傾向から、ASDの原因として遺伝による影響も示唆されています。
原因2. 先天性の脳の機能障害
生まれつきの脳の機能障害もまた、ASDの原因に挙げられています。遺伝など何らかの原因により、ドーパミンと呼ばれる神経伝達物質の受容体の生成が生まれながらに少ないことから、脳の働きが弱り、結果としてASDを発症します。
原因3. 妊娠中の喫煙や未熟児など、周産期による影響
ASDは周産期(妊娠22週から出生後7日未満までの期間)における影響も、発症に影響しているのではないかと考えられています。例えば、次のようなものがあります。
・出生体重が小さい(未熟児)
・妊娠糖尿病/高血圧
・妊娠期間が35週未満
・子宮出血
・在胎週数の割に成長が遅い
・妊娠中の喫煙
・SSRIの利用
・パートナーによる暴力
・母体の過剰な体重
・妊娠中の薬物利用
・母体に対する過度なストレス
このような条件によって、ASDの発症リスクが高まると言われています。
ASD(自閉症スペクトラム)の治療法
ASDは先天的な生まれつきの病気であるため、完治するということはありません。ASDの治療は、特徴的な症状を緩和させ困りごとを減らしていくことを目的として実施します。不注意、多動性、衝動性といった特徴的な症状は、適切な治療計画のもと治療を行うことで軽減や改善が期待できます。
次に、札幌大通こころのクリニックで実施している治療について詳しく説明します。
ASDの治療法1. 薬物治療
ASDの薬物治療では、特性に応じた治療効果をもつ治療薬を処方します。例えば、ASDの治療薬として多く用いられるものには、次のようなものがあります。
アリピプラゾール(エビリファイ)
効果 | 過敏性の抑制 |
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リスペリドン(リスパダール)
効果 | 過敏性の抑制 |
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SSRIおよびSNRI
効果 | こだわり行動、うつ、不安障害の改善 |
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効果 | フルボキサミン、パロキセチン、ミルナシプランなど |
アトモキセチン(ストラテラ)
効果 | ノルアドレナリンの再取り込みを抑え、注意欠陥・多動性障害(ADHD)症状の抑制 |
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メチルフェニデート(コンサータ)
効果 | ドパミンおよびノルアドレナリンの量を高め、ADHDの症状緩和 |
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ASDで現れる症状は人によって様々だからこそ、心療内科・精神科の専門医の指導のもと症状や状態を見極めて適切に治療薬を処方される必要があるのです。治療計画を立てる際には、薬物治療とその他の治療法を併用することで、ASDの症状改善における相乗効果が期待できます。
治療法2. 精神療法
札幌大通こころのクリニックにおけるASDの精神療法は、公認心理師や臨床心理士などの心のプロフェッショナルによるカウンセリングを通して実施されます。次に詳しく説明します。
公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング|認知行動療法
ASD治療としての認知行動療法は、人々の思考や行動が感情や心理的な問題にどのように関連しているかを把握し、ストレスにつながる考え方の癖を改善する治療法です。
ASDに困っている人は、ストレスから否定的な思考や行動パターンを持ってしまう場合があります。例えば、自己否定的な考え方、無力感、希望の喪失などの癖をポジティブな捉え方に変えていくことで、ストレスのきっかけとなる後ろ向きな思考の連鎖から抜け出すことを目指します。自分の考え方を変えるには、まず自分を理解し受け入れることが大切です。「今ここにある自分」を意識して現実を受け入れながら、感情に左右されない心を養うマインドフルネスの考え方を取り入れることで、ASDによる悩みの解決を目指します。
札幌大通こころのクリニックで実施する認知行動療法は、公認心理師や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを通して実施します。ご希望の方は、来院時にスタッフへお声がけください。
治療法3. 【自由診療】TMS治療(磁気刺激治療)
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)治療は、アメリカやヨーロッパ諸国では主流なうつ病治療の一つで、ここ数年では様々な精神疾患の症状改善が期待できるとして注目されています。TMS治療では、磁気刺激を使って脳を刺激することで、脳の働きを活性化させます。TMS治療では頭皮を通じて磁気パルスを発生させる装置を使用することで、脳の特定の領域に刺激を加え、脳の神経活動を正常化させます。ASDに対するTMS治療の効果ははっきりとは証明されていません、そのため、札幌大通こころのクリニックでは、ASDそのものではなく、特性によって生じる不安症状や抑うつ症状の緩和を目的として実施しております。ASDの特性と現状の不安症状などの緩和を目指す場合は、薬物治療とTMS治療を併用することもできます。
TMS治療は、週に数回程度の施術を実施し、数週間から数か月にわたって継続していきます。治療は一回あたり約15分〜30分で終了するため、通院による治療も手軽に行いやすいのがメリットだと言えるでしょう。
また、TMS治療は、薬物治療で効果が出なかったり、薬物療法の副作用を避けたいと考えたりする方に適していると言えます。うつ病や他の精神疾患の治療において、TMSは代替手段として検討されることもあります。TMS治療は専門医の指導のもとで実施されるべきであり、効果や安全性は個人によって異なる場合があります。治療の適応や詳細については、医師や専門家との相談が重要です。
札幌大通こころのクリニックで実施するTMS治療は自由診療です。自由診療のメリットは気軽に日帰りで治療を受けられること。保険診療のTMS治療を受けたい場合は厳しい審査基準(適切な薬物治療で効果がなかった、長期間で自殺念慮がある、6週間以内に30回の治療ができる、大学病院などの大きな医療機関に通えるなど)をクリアした上で、約2ヶ月〜3ヶ月間の入院治療を行います。すなわち、自殺願望が生じるほどに重症化したうつ病患者しか、TMS治療は保険適用されないのです。
「ASDによる抑うつ症状が重症化する前に早く治したい」「不安症状を緩和させて仕事に早く復帰して安心したい」「自宅で過ごしながらうつ症状を治したい」とお考えの方は、自由診療でのTMS治療をおすすめします。
ASD(自閉症スペクトラム)セルフチェック
- 会話をする際に相手の気持ちを考えるのが苦手
- 服のタグなど、他の人は気にならない些細なものにも反応してしまう
- グループや集団での行動が苦手
- 他人からの期待や求められているものを察することができない
- 社交場での自分の適切な振る舞いがわからない
- 雑談が難しい
- 他人との関わりに疲れて、一人になれる場所へ逃げることがある
- 友達の作り方や、社交的な接し方がわからない
これらの症状が2つ以上に該当する場合には、ASDの可能性があります。日常に支障が出るほどの症状にお困りの方は、専門クリニックへの受診を強くおすすめします。
医療機関を受診することで、ASDの診断が正式に確定します。発達障害の診断に対して不安やマイナスな印象を受ける方もいますが、病院でASDの診断を受けることにはしっかりとしたメリットがあります。
ASDでよくある質問
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ASDの方が苦手とする表現方法にはどのようなものがありますか?
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ASDの方は、具体的かつ明瞭な表現を好む一方で、曖昧な表現やニュアンスが込められた言葉に対応することが苦手です。さらに、非言語的な情報や社会的な未記載のルールの解釈も難しいとされます。
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ASDの方が得意とすることにはどのようなものがありますか?
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ASDの方は特定のタスクに集中する仕事に長けています。対人関係が少なく、コミュニケーションがほとんど不要な作業では、その過集中の傾向が細かい部分まで気を配ることを可能にし、これらのタイプの作業が得意であると一般に見なされます。
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ASDの人が示すこだわり行動や、ASDと判断できる特徴にはどのようなものがありますか?
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ASDの人が示す典型的なこだわり行動には、「特定の洋服や食品の選択」、「テレビの同じシーンを何度も見る」、「特定の数字や記号への固執」、「物を並べる遊びを好む」といった例があります。大人のASDの特徴として、ジェスチャーや表情を使った感情表現や他人の感情の理解が難しいことが挙げられます。自己診断は非常に危険ですので、ASDの可能性が気になる場合は、専門医による診断が必要です。札幌大通こころのクリニックでは、患者さんの状態を詳細に診察し、完全予約制で対応しています。詳細はご予約時にお問い合わせください。