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過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群(IBS)は、特に消化器の疾患がないにも関わらず、腹痛と便秘、または下痢を慢性的に繰り返す病気です。過敏性症候群は精神疾患の症状として発現することもあるため、内科での治療が合わない場合は、心療内科・精神科で治療をすることで症状が改善するパターンもあります。
過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群の原因には、次のようなものがあげられます。
原因1. 心理的要因
過敏性腸症候群の原因となる心理的要因には、ストレスや不安症、抑うつ、強迫観念などによる恐怖感などがあげられます。このような症状には、不安障害、うつ病、強迫性障害などの精神疾患が隠れている場合があります。
以前よりも精神的なストレスが強いと感じるなど、異常を感じる場合は、心療内科・精神科などの専門医に相談することをおすすめします。
原因2. 自律神経の乱れ
過敏性腸症候群は、自律神経の乱れによって引き起こされる場合があります。自律神経の乱れは、環境要因によるストレスや不規則でバランスの悪い生活習慣、加齢などによるホルモンバランスの崩れによって引き起こす原因となります。
このように、自律神経失調症の症状として、過敏性腸症候群を発症する場合もあります。自律神経失調症については、「自律神経失調症ページ」をご覧ください。
過敏性腸症候群の治療法
はじめに、生活習慣の改善が一番大切です
過敏性腸症候群の症状を軽減するためには、根本的な原因を解決できるよう、ストレス管理や規則正しい食生活、適度な運動などの生活習慣の改善が大切です。このように、生活習慣などのベースを整えることで、過敏性腸症候群の症状改善が期待できます。
治療法1. 薬物治療
腹痛や便通異常などの症状を和らげるために、抗不安薬や抗うつ薬、緩下剤、便秘薬などが処方される場合があります。ただし、過敏性腸症候群で現れる症状は人によって様々だからこそ、心療内科・精神科の専門医の指導のもと症状や状態を見極めて適切に治療薬を処方される必要があるのです。
治療計画を立てる際には、薬物治療とその他の治療法を併用することで、過敏性腸症候群の症状改善における相乗効果が期待できます。
治療法2. 精神療法
札幌大通こころのクリニックにおける過敏性腸症候群の精神療法は、公認心理師や臨床心理士などの心のプロフェッショナルによるカウンセリングを通して実施されます。次に詳しく説明します。
公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング|認知行動療法
過敏性腸症候群治療としての認知行動療法は、睡眠に関する間違った信念や行動を修正し、過敏性腸症候群につながる考え方の癖を改善する治療法です。
過敏性腸症候群に困っている人は、否定的な思考や行動パターンを持っている人もいます。例えば、自己否定的な考え方、無力感、希望の喪失などの癖をポジティブな捉え方に変えていくことで、過敏性腸症候群のきっかけとなる後ろ向きな思考の連鎖から抜け出すことを目指します。自分の考え方を変えるには、まず自分を理解し受け入れることが大切です。「今ここにある自分」を意識して現実を受け入れながら、感情に左右されない心を養うマインドフルネスの考え方を取り入れることで、過敏性腸症候群による精神疾患の再発を防ぐのに効果的です。
札幌大通こころのクリニックで実施する認知行動療法は、公認心理師や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを通して実施します。ご希望の方は、来院時にスタッフへお声がけください。
過敏性腸症候群セルフチェック
- 長期間(数週間)にわたって腹部に不快感や痛みがある
- 下痢や便秘などの便通異常が継続している
- 便の形が通常と異なる状態が続いている
- 排便後に腹部の痛みが一時的に軽減する
- 排便の頻度が不規則である
- 排便後にも便が残っている感覚がある
これらの症状が3つ以上当てはまり、半年以上続いていたり、日常生活に支障があったりする場合には、過敏性腸症候群の可能性があります。過敏性腸症候群かもしれないと感じた際には、早期発見・治療のためにも迅速に医療機関へ相談することをおすすめします。
過敏性腸症候群でよくある質問
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過敏性腸症候群はどのような人に多いですか?
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過敏性腸症候群(IBS)は男性よりも女性に多く見られ、特に思春期から壮年期までの20~40歳代に多く発症します。
男性では下痢型が多いのに対し、女性は便秘型や、下痢と便秘が交互に現れる混合型が多く見られます。発症には多くの場合、何らかのストレスが関与しているとされています。
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過敏性腸症候群の人が食べてはいけないものは何ですか?
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食品や刺激物を避ける 高カロリー・高脂質の食品、カフェインを含むコーヒーや飲料、アルコール、香辛料などは、できるだけ摂取を控えましょう。
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過敏性腸症候群を放置するとどうなりますか?
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過敏性腸症候群は放置すると、消化器がんや虫垂炎などの重篤な消化器疾患を引き起こす可能性があります。
そのため、お腹が痛い、下痢、便秘といった症状があっても軽視せず、お早めに医師に相談することをお勧めします。
些細な症状でも構いませんので、お腹の不調を感じた際は、専門家にご相談ください。